gigiのブログ

国際結婚の末の家族生活の日々

警察に相談

とうとう子どもが危ないと追い込まれ、気持ちを決めた日、わたしは昼寝している子どもをベビーカーに乗せ、歩いて町交番へ向かった。側からみればベビーシッターのアジア人だと姑にからかわれた虚しい思い出が蘇る。


交番に着くと、三十代半ばの白いぷよっぷよの男性警官が一人で暇そうに受付に立っているのが見えた。話相手がやってきたな、とでもいうような顔で近づく外国人のわたしを待ち構えていた。


力尽きた負のオーラを背おい、この国に来て約三年、なんとか喋れるという程度の言葉で、乾いた喉から力の無い声を出して喋った。


「こんにちは。あの、わたしの夫がコカインとかマリファナとかドラックやってるので、捕まえに来てください、お願いします。」


これで解決できた、つかの間の達成感はほんの数秒、警官は優しくとても穏やかな声で、


「それはできないんだよ。」


えーーーっ、聞き間違い? 語学力が足りなかった? できないってどういうこと? もしかしてこの人旦那と友達? などと瞬時にあたまの中をよぎった。


わたしは、


「ドラックって違法ですよね、わたしと子ども、とても困っているんです。旦那は言う事聞かないし、旦那の両親や親戚も誰も助けてくれないし、わたし一人なんです。」


というと、警官はこう説明してくれた。


「この国は自宅などの個人所有域内でドラックやっても捕まえられない、逮捕できるのは公の場で売買している場合だけなんだよ。」



このまま引き下がったら何も変わらないと思い、


「じゃあ、旦那が誰かから買ってる現場を見つけたら捕まえてください。」


と、わたしは何とか警察に助けを求めた。


警官は、穏やかなまま会話のペースを崩すことなく、


「とにかく町の相談所を教えてあげるからそっちに行って相談してみて。この大通りを行って直ぐだから。」


と、これ以上話すことは無いと、その町の相談所に案内してくれた。


むなしいかな、そこは、私達が数年前に婚姻届に署名して誓いの言葉を交わした建物の隣だった。もうそんなことは忘れたも同然。この町はとても小さく、200メートルほどで終わってしまう町の大通りに、町役場、警察、社会福祉事務所、銀行、公民館などがある。わたしは、辺りに人が歩いていないか、同じ託児所に通う子の家族はいないかと心配しながら相談所の建物に入った。

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