過去の決意
どうやってあれほどに辛い過去の日々を生き抜いてきたのだろう。耐えに耐え抜いて辛抱してこれで本当に良かったのだろうか、後悔も多い。
幼い子どもを連れて、彼から逃げて新しい生活を始めようと思ったけれど留まった理由は、成人した子どもが父親を探し当ててしまった時に、辛い思いをさせたくなかったからだった。
彼と別れるなら厚生するのを見届けてからにしようと心に固く決心していた。
もし、国を変えて新しい土地へ住み移り、「実父は死んだ」などと言って新生活を送ったとしても、子どもが実父を探し出す方法はいくらでもある。
もし、大きくなった子どもがやっとのおもいで実父を探し当てた時、もし、その時に父親が酒やドラックに溺れた人間だと知ったら余計に辛いだろうし、探し当ててしまった自分を責めたりするのではないか。
彼の実家親戚には、本気で助けの手をのばすものなどいやしなかった。本人にも重症だという認識は全くなかった。だから、当時のわたしは依存症を克服する可能性は、とても低いと見込んでいた。ましてや嫁や子どもに逃げられたら、その可能性は更に下がると思った。
まともになるまでは見守って、別れるならその後にしようと決めていたのだった。
この決意が良かったのか、それとも悪かったのか、それは人生が終わる瞬間までわからない。